So-net無料ブログ作成
検索選択

サーモクロミック分子③ [科学系よもやま話<色と光の話>]

さて、今回はサーモクロミズムを使った大ヒット商品、フリクションインキについて、その原理を解説しようと思います。

フリクションインキは、ロイコ染料、顕色剤、変色温度調整剤を一つのマイクロカプセルの中に均一に混合し、封入して顔料化したものです。

ロイコ染料とは、黒、赤などの色を決める成分です。ちょと難しく言えば、酸化還元に伴って可逆的に色調が変化する有機色素となります。
ロイコ染料.png
そして、酸化還元を行うのが顕色剤です。よくあるのは、還元状態で無色な分子が、顕色剤で酸化されると発色するというものです。感熱紙にも使われていますが、あくまで酸化還元で可逆的に色が変化するので、温度によって酸化或いは還元が起こるようにした場合に、サーモクロミズムを発現します。

では、顕色材は、どのように温度変化によって酸の放出・消失を制御しているのでしょう?
顕色材としては、長い炭素鎖(アルキル基)を持つアルコールやフェノールが知られています。温度によって、アルキル基が凝集化したり結晶化したりするのですが、ここが鍵となります。温度が高く分散状態では、酸を放出してロイコ染料を発色させ、温度が低く凝集状態では、酸の消失が行われロイコ染料を消色させるというわけです。

因みに、ペンテルのフリクションボールペンは、変色温度と調整する変色温度調整剤が添加されている点、ロイコ染料、顕色剤、変色温度調整剤を一つのマイクロカプセルに入れ、サイズが2~3ミクロンという小さいサイズで安定的にボールペンの溶剤中に分散されている事が特徴と言えるでしょう。

さて、まだまだサーモクロミズムにはバリエーションはあるのですが、一まずこの話題はここで区切りをさせて頂きます。

nice!(4)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 4

コメント 3

北海道大好き人間

普段何気なく使っている日用品にも化学の分野が深く入り込んでいるということですね。

by 北海道大好き人間 (2014-01-23 10:18) 

optimist

北海道大好き人間 さん、こんばんは。
今は色々な分野で新規材料を見ることができるので、面白いですよね。
by optimist (2014-01-28 00:41) 

トライボシステム展望(well-to-wheel)

 現在の機械構造材料の最大のネックは摺動面。
いくら機械的特性(材料強度・硬さ)が高くても、材料というものは摩擦に弱い。
そのため潤滑油が存在する。しかしながら、それでも弱いので
コーティングをする。
しかし、日立金属が開発した自己潤滑性冷間ダイス鋼SLD-MAGICは
コーティングレスで摩擦に強いことが特徴。そのメカニズムは
潤滑油と特殊鋼が相互作用を起こし、グラファイト層間化合物
(GIC)という高性能な潤滑物質を作るためであることが、日立金属技報
2017で公表された(炭素結晶の競合モデル;CCSCモデル)。
 これにより機械設計は小型化され、摩擦損失と軽量化の同時
解決が見込まれ、自動車の燃費向上に大いに寄与することが期待
されている。
by トライボシステム展望(well-to-wheel) (2017-04-17 17:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。