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レアアースについて その2 [科学系よもやま話<レアアース,レアメタル>]

さて、前回レアアースは中国が生産の9割を占める理由として、安いからと説明しました。

レア・アースの鉱床は中国にしかないという人が居ますが、正確には、採算が取れるレア・アース鉱床が中国に集中しているだけです。希土類元素は、金などに比べれば遥かに地殻中の存在比率が高い元素なのですが、いかんせん抽出するのが難しい(=コストが高い)という問題から希少になっています。

今日は、なぜ中国ではレアアースが安く得られるのかについてお話しようと思います。

様々な輸出品に中国製品がありますが、これらが安いのは人件費が安い事、通貨レートで人民元が安い事によるものです。レアアースの場合にも、これは当然あてはまりますが、それ以外に大きな理由があります。それは、鉱床の種類です。

中国のレア・アース鉱床というと、多くは南部のイオン吸着鉱床です。希土類の含有量は0.2%未満に過ぎないのですが、弱酸を使って簡単に抽出できるため、安価で抽出できることから採算性に優れた鉱床なんです。
ただ、安価な抽出というのが、また乱暴な方法でして、採掘した鉱石に酸をかけるのではなく、鉱床そのもに酸性の液体を流すんです。で、しみ出てきた液体を回収してレアアースを抽出するというものです。
当然、環境への汚染が懸念されている方法です。

また、中国北部には希土類を含む鉱床として、カーボナタイトもあります。このタイプの鉱床は中国以外でも発見されています。しかし、こちらは希土類の含有量が6%にも達するのですが、重希土類元素の割合が全希土類の1%程と低い上に放射性元素含有量も高いという問題があります。 この放射性元素の不法投棄も中国では問題になっているそうです。

この鉱床の性質が理由となって、特に重希土類については、世界中が中国に依存している状況を生んでいます。
 
では、他にレアアース(特に重希土類)を含有する鉱床は無いのでしょうか?
 
そんな事はありません。
しかし、単に希土類が含まれてりゃ良いという訳ではありません。
カーボナタイトのように放射性元素を多量に含む鉱床は、望ましくありませんし、重希土類が含まれることが必要です。

そういう意味では、日本でも産出する(既に採掘はされていませんが)鉄マンガン鉱床だって、希土類の総含有量もが0.2%という結果が得られています。含有量なら上記のイオン吸着鉱床より有望です。更に全希土類元素中の重希土類元素の割合も20%と、カーボナイトどころかイオン吸着鉱床の10%より高い上、放射性元素も少ない。ただ、鉄マンガン鉱床から微量な希土類を安価に抽出する方法が確立されていないというのが、最大の問題です。

もし、これが安価に抽出できるなら、レア・アースの供給の心配なんて無くなっちゃうんですけどね~。まあ、その場合でも、日本で鉄マンガン鉱床を採掘するより、遥かに安価な第三国で採掘してレア・アースを抽出する事になるでしょうけど・・・。

因みに、ニュースにもなっているオーストラリアのマウント・ウェルド鉱山は、風化殻鉱床で、カーボナタイト鉱床が風化したもの。当然、カーボナタイト鉱床同様に、重希土類が少ない上、放射性元素を大量に含んでいるんです。他にもオーストラリアには、オリンピックダム鉱山もありますが、こちらは鉄希土類鉱床。軽希土類に富む上、カーボナタイト鉱床以上に放射性元素を大量に含んでいます。レアアースの埋蔵量が多いって言っても、課題は満載だと思いますよ。

それに、そもそもレア・アースなんて広範囲に少しずつ含まれているので、それだけを抽出する目的で鉱山開発するなんて、効率が悪すぎです。
酸化鉄型鉱床から鉄を取るついでに産出でききれば、こんなに良い話は無いのですが・・・。新しい技術に期待です!



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北海道大好き人間

素人考えですが、放射性元素が多く混じっているということは、「レアアースを抽出する際に被爆する可能性が高い」ということでいいのでしょうか?
その副産物を原発とかに有効利用できれば言うことなしでしょうけれども、今度は放射性廃棄物の問題が出てきますね。

交通事故もそうなのですが(自動車や飛行機が発明される前にはあり得なかったことです)、技術が発達するにつれて、人為的要因が自然界に影響を及ぼすことだけは避けたいものです。
by 北海道大好き人間 (2010-10-08 10:01) 

アヨアン・イゴカー

>新しい技術に期待
本当に日本人技術者の能力に期待します。
>人為的要因が自然界に影響を及ぼすことだけは避けたいものです
(北海道大好き人間さん)
同感です。
by アヨアン・イゴカー (2010-10-10 09:55) 

optimist

北海道大好き人間さん、こんばんは。
カーボナタイト鉱床は、実は非在来型資源と呼ばれる、品位の低いウラン資源でもあります。
また例にあげた、オリンピックダム鉱山などは、レアアース鉱山というより、銅とウランを目的とした鉱山だったりします。その銅鉱石には、238Uが700ppmも含まれ、8.7Bq・gの放射線を出しているそうです。
このように、ウランを抽出できますが、他の特に使い道がない放射性元素は、今のところゴミでしかないようです。
多くの場合、レアアースの採掘には、放射性廃棄物の問題がつきまといます。そのため、放射性元素の少ない鉱床が求められるわけです。
科学の進歩で得る恩恵あり、考えもしなかった弊害もありという所ですね。
実際、ウラン残土や精錬カスの処理は問題を多くかかえています。とても書ききれないので、ここでは深入りしませんが、日本でも人形峠のウラン残土問題があったりして、非常に厄介です。

by optimist (2010-10-12 22:20) 

optimist

アヨアン・イゴカー さん、こんばんは。
日本人技術者の話については、その5、その6でもご紹介していますが、本当に頑張って欲しいですね。
by optimist (2010-10-12 22:22) 

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